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製造プロセス用局所排気システムに特化した耐酸可変風量システムを開発
低風量域での安定制御と低価格を実現
2014.5.13
 
 新日本空調株式会社は、電子デバイスなどの製造プロセス用局所排気システムに特化した、安定制御と低価格を両立した耐酸可変風量装置(局排用高速VAV)を開発しました。
 本システムは、医薬分野の研究開発用ドラフトチャンバ給排気システムで採用されている、高速VAVの不要な機能を除き、風量測定精度と安定制御に機能を絞り込むことで、省エネルギーのために必要な低風量域までの安定制御が可能です。
 システム構成コストも、機能を絞り込むことと局所排気用耐酸ダンパに差圧センサ、コントローラ、アクチュエータを一体化することにより、当社従来比1/3を達成しました。
 2014年1月から当社の技術開発研究所において、モックアップ施設を用いて風量測定精度と、制御の安定性の検証試験を実施しました。更に2014年3月に某電子デバイス工場に試験導入し、フィールドテストを実施して、単体で40%以上の風量削減を実証しました。
 今後は、2014年第二四半期以降より客先納入の開始を予定しており、半導体や液晶などの電子デバイス工場の新築案件やリニューアル案件に、省エネシステムとして技術提案し、本システムの導入に向けて展開して参ります。
1.開発に至る経緯
 半導体、液晶などの製造プロセスにおける局所排気システムは、多数の製造装置を搬入し、接続・立ち上げる大規模な工場において、種々の問題が顕在化してきています。
数百台もの製造装置を搬入するたびに、風量調整をし直すことは現実的に不可能で、比較的余裕を持った調整となり、過剰運転や能力不足をもたらすことになります。
製造装置に接続するダクトは、直管部分が殆ど無く曲がりの連続のため、合理的で正確な調整ができず多大な労力が必要になります。
圧力不足など能力不足になった時に、排気装置を増設しても、肝心の圧力不足系統へ及ぼす効果は少なく、充足している系統から更に排気されてしまうことが予想されます。
 これらの理由により、設計風量より過大な排気量になるため、余分な排気量を無くすことは、余分な外気処理負荷を無くすことに繋がり、大きな省エネルギー(熱源動力・給排気搬送動力低減)効果が得られます。
 また、故障時やメンテナンス時に、予備機に切替え運転を行うと、予備機の位置によっては、ダクト内の流れが変化し、ダクト内圧力が大きく変化することが予想されます。
 これらの問題解決策として、製造装置に接続するダクトに、定風量機能を持つダンパ(VAV)を取り付けることが考えられますが、内部は腐食性ガスのため、一般の定風量装置は使用できず、塩ビ製などの材質で定風量機能を持つダンパを開発しなければなりません。
 そこで当社は、1985年に開発した「耐酸可変風量システム(HECS VAV)」(クリーンルームの送排気系 特公 平3−13493)を発展させ、電子デバイスなどの製造プロセス用局所排気システムに特化した安定制御と低価格を両立した耐酸可変風量装置(局排用高速VAV)を開発しました。
2.開発した局排用高速VAVの特徴
(1)差圧による風速検出方式
 風が発生させる圧力には下記の関係があります。
 全圧 = 動圧 + 静圧
 ダクト内にオリフィスリングを設置しその差圧を測定し風速に変換します。オリフィスリングの前後には
 差圧(動圧)=全圧 − 静圧
 が発生し(図1)、これを風速に変換します。(図2)
 風速=C√差圧 :Cは流量係数
 流路の断面積がわかれば現在風量を知ることができます。
図1 ダクト内の風の流れ
図1 ダクト内の風の流れ

図2 差圧と風速特性グラフ
図2 差圧と風速特性グラフ

(2)風量制御方法
 オリフィスにより発生した差圧から風速を検出します。コントローラでは指令風速と現在風速を比較して、現在風速が指令風速より小さい場合はダンパ羽根を開ける方向に、指令風速より大きい場合は閉める方向にアクチュエ−タを回転させ、指令風速と現在風速が一致するとモ−タを停止させます。(図3)なお通常の制御の他に外部からの指令により、ダンパ羽根を強制的に全開あるいは全閉する機能を持っています。
図3 制御ブロック図
図3 制御ブロック図
(3)局排用高速VAVの構成
 局排用高速VAVはダンパ部(ケーシング、羽根)、オリフィス、高速アクチュエータ、差圧センサ、コントローラから構成されています。アクチュエータとダンパの接続はアクチュエータブラケットの取り付け穴を使用して、アクチュエータをダンパ軸に固定します。これら構成部材を全て一体化しています。(図4)
図4 構成図
図4 構成図
3.モックアップ施設を用いての検証結果
 2014年1月から当社の技術開発研究所において、モックアップ施設(写真1、2)を用いて風量測定精度と、制御の安定性の検証試験を実施しました。
写真1 モックアップ施設全景
写真1 モックアップ施設全景

写真2 局排用高速VAV取付状況
写真2 局排用高速VAV取付状況

(1)風量測定精度
 局排用高速VAVの前後にエルボ(曲がり管部)がある場合の風量測定精度は、設定風量の±5%を維持できました。更に低風量域(風速0.5m/s)まで制御可能なことを検証しました。(図5、6)
図5 150Φ(定格風量250CMH)
図5 150φ(定格風量250CMH)

図6 200Φ(定格風量550CMH)
 図6 200φ(定格風量550CMH)

(2)制御の安定性
 ①ハンチング(ふらつき)
 定常状態(ブース扉の開閉などがない状態)において、設定風量の±5%を維持できました。(図7、8)
図7 150Φ(定格風量250CMH)
図7 150φ(定格風量250CMH)

図8 200Φ(定格風量550CMH)
図8 200φ(定格風量550CMH)

 ②オーバーシュート(行き過ぎ)
 故意にオーバーシュートを発生させ、その後速やかに(回復時間10秒以内)元の状態に復帰することを確認しました。(図9、10)
図9 150Φ(定格風量250CMH)
図9 150φ(定格風量250CMH)
図10 200Φ(定格風量550CMH)
図10 200φ(定格風量550CMH)

(3)省エネルギー性と見える化
 エルボ(曲がり管部)近傍のダクト150φについて、図11の風速測定断面の2,4,5の測定位置でアネモマスターにより風速を測定し、定格風量250CMHとなるようにダンパ開度を手動で調整し、VAVからのコントローラ出力と比較しました。その結果、手動調整により、定格風量より14%(286/250=1.14)多くなることが検証されました。(図12)このように、風量・風速・ダンパ開度がコントローラにデジタル表示されるので、効果を数値として見える化できます。
図11 150Φ断面
図11 150φ断面

図12 150Φ(定格風量250CMH)
図12 150φ(定格風量250CMH)

4.今後の展開と予定
 2014年3月に某電子デバイス工場に試験導入し、フィールドテストを実施して、単体で40%以上の風量削減を実証しました。2014年第二四半期以降より客先納入の開始を予定しています。
 今後は、半導体や液晶などの電子デバイス工場の新築案件やリニューアル案件に、省エネシステムとして技術提案し、本システムの導入に向けて展開して参ります。
5.本件に関する問い合わせ先
新日本空調株式会社 経営企画本部 広報課 高辻 勇
TEL:03−3639−2332(ダイヤルイン)
FAX:03−3639−2734
E-mail: takatsujii@snk.co.jp

新日本空調株式会社 産業施設事業部 営業部 榎本 真人
TEL:03−3639−2730
FAX:03−3639−2743
E-mail: enomotom@snk.co.jp