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吊り機器の制震・制振補強「柔(にゅー)ワイヤ工法®」を開発〜剛から柔への発想の転換 2016.8.23
 
 新日本空調株式会社は、地震時における吊り機器の補強方法として、後付けが可能であり、さらに従来の全ねじボルトによる振れ止め補強方法に対し、施工時間を大幅に短縮させて省力化が可能で、共振による吊りボルトの破断を抑制する、ワイヤを用いた制震・制振補強「柔ワイヤ工法®」(特許出願中)を開発しました。
 従来の剛構造の弱点を新たな(NEW)ワイヤの張り方による柔構造で解決し、吊り機器の落下リスクを軽減して、お客様への安心・安全を提供致します。
1.開発に至る経緯
 天井スラブから吊り用の全ねじボルトを4本用いて設置されている機器(以下、吊り機器)では、地震対策として一般的に吊りボルトに専用金具を取付け、吊り用と同じ全ねじボルトで4面に、X状の斜材を設けて振れ止め補強(以下、X状据付法)を行っています。
 X状据付法の作業は高所で行われ、斜材の準備には採寸と切断作業を伴います。手間がかかるために、作業時間の短縮が求められております。
 またX状据付法では、剛性を高めて耐震補強効果を得ますが、吊り機器に大きな揺れや共振(揺れの増幅)が生じた場合、吊りボルトの剛性が一番弱い箇所に応力が集中し、吊りボルトの破断が生じてしまう場合がありました(東日本大震災による被害事例)。
 これらを解決するために、採寸と切断作業を短縮する補強方法、また吊り機器の共振が起こり難い柔構造を検討し、吊りボルトへの応力を全体に分散させて、その破断を抑制する補強方法「柔ワイヤ工法®」を開発しました。
 
X状据付法(従来の補強)
 
2.特徴
 専用のワイヤとワイヤ取付金具を用い、以下のように施工します。
1. 吊りボルト(全ねじ)にワイヤ取付金具を設け、それらにワイヤが可動するように取付けます
2. ワイヤをループ状に取付け、隣接する吊りボルト全てを1度だけ経由するルートとし、その始点と終点を一致させます(下図①(始点)→②→③→④→⑤(終点))
3. ワイヤを2本用います(下図①→⑤と①’→⑤’の2ルート)
4. ワイヤの張力を調整します
 
柔ワイヤ工法<sup>®</sup>
 
 この新たな(NEW)ワイヤの張り方による柔構造が、本工法の大きな特徴です。地震によって吊り機器に大きな揺れや共振(揺れの増幅)が生じた場合、吊り機器が揺れると同時にワイヤが可動し、その可動量を金具とワイヤの摩擦で制御することで、吊り機器の揺れを減衰(制震・制振効果)させます。
 一般的に用いられるオイルダンパー等の特殊な部材や装置を用いること無く後付けができ、制震・制振効果を得ることができます。
3.効果
(1)施工時間の短縮
 改修工事の現場で、一般的に行われるX状据付法と「柔ワイヤ工法®」を、同一作業員(2名)に実施させて作業時間を計測した結果、「柔ワイヤ工法®」ではX状据付法の約3分の1の時間で施工可能であることが実証されました。
 斜材の採寸と切断時間を不要とし、取付けもワイヤを金具に通していくだけの簡単作業でボルト・ナットの締め付け数が減るために、大幅な施工時間の短縮を実現することができ、省力化が可能となります。
(2)共振の抑制
 X状据付法には共振点が存在しますが、「柔ワイヤ工法®」ではそれが突出して見られませんので(下図)、共振による大きな力が作用せず、吊りボルトの剛性が一番弱い箇所に応力が集中することが避けられ、吊りボルトの破断を抑制して吊り機器の落下リスクを軽減することができます。
 
加振実験の結果(機器変位と加速度)
  注) 東京工芸大学工学部建築学科 水谷研究室にて実験
条件: 機器模型サイズ 850mm×800mm×385Hmm、模型重量 24.6kg
吊りボルト長さ 910mm、吊りボルト径 W3/8(通称 3分(さんぶ))
加振方法 Sweep波(20Hz〜0.8Hz)
 
(3)効果継続時間(例)
 「柔ワイヤ工法®」において、共振状態(震度7相当)で加振し続けた結果、7分間以上ワイヤが破断することがありませんでした。その間、吊りボルトも破断しておりません。吊り機器(模型)の揺れ幅は±25mm程度です。注)東京工芸大学工学部建築学科 水谷研究室にて実施
4.今後の展開
 本工法は、日栄インテック株式会社と一緒に専用ワイヤの選定、ワイヤ取付金具の開発を行い、東京工芸大学工学部 水谷国男教授のご協力を頂いて学術的な裏付けを得ながら性能検証を行って、技術確立を致しました。2016年度の日本建築学会大会(九州)および空気調和・衛生工学会大会(鹿児島)において、本工法の実験結果等を発表致します。
 今後も吊り機器の様々な設置条件における検証結果を蓄積すると共に、配管やダクト設置への工法展開を随時進めていきます。
5.本件に関する問い合わせ先
新日本空調株式会社 経営企画本部 企画部 広報課 星野 昌亮
TEL:03−3639−2332(ダイヤルイン)
FAX:03−3639−2734
E-mail: hoshinom@snk.co.jp

新日本空調株式会社 技術開発研究所 品田 直也
TEL:0266−73−9611
FAX:0266−73−9615
E-mail: shinadan@snk.co.jp