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微粒子発生量評価装置「L-Wind」を開発
〜消耗品・機械要素から発生する粒子を全量評価できる独自技術
 清浄環境への持込み品の検証や合理化に可視化技術を応用〜
2017.5.18
 
 新日本空調株式会社(代表取締役社長 夏井 博史)は、清浄環境で使用する消耗品や生産設備の機械要素から発生する微粒子の総数を、気流計画により設計された風洞と独自の光膜式の粒子濃度計数技術を組み合わせ、定量評価することができる微粒子発生量評価装置を自社ブランド「ViEST®」の新しいラインナップに加え、「L-Wind」として市場投入します。
 「L-Wind」は、グローブボックス内で発生させた微粒子を、清浄空気で押し流し、風洞で整流しながら縮流し、均一な流速分布で縮流ノズル先端から排出させて、その流れ断面を通過した微粒子全量を、先端に生成した均一なレーザ光膜と予め粒子サイズに感度調整した専用高感度カメラにより撮影し、高速な画像処理アルゴリズムで、リアルタイムに粒子数を計数する、全く新しい手法の微粒子発生量の評価装置です。この「L-Wind」によって、清浄度が厳密に管理される細胞治療や再生医療に用いられるCPC(セルプロセッシングセンター)に組み込まれる小型の装置や設備要素についても、微粒子発生量の事前検証が可能となります。
 「L-Wind」は、当社技術開発研究所(長野県茅野市)の実験用CR内に設置した標準仕様装置を使用した試験運用を終了し、本年度より可視化技術の受託評価メニューの一つとして正式運用を開始いたします。また、ユーザ仕様に基づく個別設計の受注生産品として、販売にも対応いたします。
1.新ラインナップ「L-Wind」の開発に至る経緯
 新日本空調は、目には見えない微小な粒子を、高感度に可視化できる技術を自社ブランド「ViEST」として展開しております。
 微粒子可視化技術では、インフルエンザウイルスに匹敵するサイズ0.1μmの空間に浮遊する微粒子を可視化できるオンリーワンの性能を持つ、超高感度可視化システムを提供してまいりました。本技術を使用した専門技術スタッフの受託現場評価業務など、様々なものづくり現場での豊富な実績を通して把握した顧客ニーズを元に、現場の特性にあった可視化技術の最適化に向けた研究開発を進め、微粒子可視化用多機能LED光源「パラレルアイ Type-D」や、粒子の蛍光色や形状をデータ化できる可視化ツール「Dスコープ」など、独自技術でこれまでにない特長を持つ商品の展開を続けております。
 細胞治療や再生医療に用いられるCPC(セルプロセッシングセンター)では、厳しい清浄度管理が要求されるため、加工や分析に必要となる小型の装置や設備要素に関する発塵性を事前に検証し、必要な対策を講じた上で持ち込むことが求められます。また、近年、半導体工場を始めとする清浄環境を必要とする分野では、省エネルギーや運転コストの観点から、よりクラスの低いクリーンルームで合理的な運用を求める傾向にありますが、一方で、清浄度を低下させないために、持込み部材の管理の重要性は増しています。
 一方、既存の粒子濃度計測機器は、一定量の空気を吸引し、その中に含まれる微粒子の個数を測定器内部で計数しますが、吸引量が限られるため、発生微粒子の全量を測定器に導入することが困難であり、また、発生個数は、濃度(単位体積あたりの個数)から換算する必要がありますが、吸引空気の範囲が明確ではなく、原理上、不確かさが残りました。
 今回開発した「L-Wind」は、清浄環境に持込む部材の試験体を、陽圧に維持されたグローブボックス内にセットし、発生させた全ての粒子を、清浄空気で押し流し、発生時に乱れた気流を、流体風洞を使って整流しつつ乱れを減衰させながら縮流し、均一な流速分布で縮流ノズル先端から排出させます。一方、ノズル出口部分の流れ断面に均一なレーザ光膜を生成し、微粒子が全量通過する際に発生する微弱散乱光を、専用高感度カメラで2次元(面で)検出し、取得した映像を高速な画像処理でリアルタイムに粒子数を計数することができる当社独自の光膜式粒子濃度測定技術(特許取得済み)を用いた全く新しい評価手法です。本技術を使用すると、発生した粒子を全て直接計数できるため、高い信頼性を確保できるだけでなく、高速で応答するため、発生量が時間変化する場合でも時系列の発生量を測定できます。また、ノズル先端の検出面積と風速が規定できているため、計数量を濃度値にも正確に換算できます。さらに、予め粒子サイズごとに感度調整した専用高感度カメラを複数台設置し同時撮影することができますので、複数の管理粒子サイズごとの発生量も評価可能です。
 「L-Wind」は、昨年度、「バイオ3Dプリンタ」技術による立体組織再生技術の実用化を目指す株式会社サイフューズ(https://www.cyfusebio.com/)に技術開発上の評価手段として検証いただき、本年度より、正式に「ViEST」の受託評価メニューに加えます。また、ユーザ仕様に基づく個別設計の受注生産品として、販売にも対応いたします。
 この新ラインナップの投入により、細胞治療や再生医療に用いられるCPCを始めとする、厳密な清浄度管理を要求される清浄環境で使用する部材の粒子発生量が事前評価できるため、検証データに基づく清浄度管理や、管理グレードに合った持込み部材の選定による運用の合理化などに、お役立ていただけるものと考えます。また、流体シミュレーション技術で、環境の清浄度予測を行う際に、支配的となる発塵量が明確になり、予測の信頼性が各段に向上いたします。
2.新ラインナップ「L-Wind」の概要
1)標準仕様試験装置の構成
 「L-Wind」の標準仕様は、
  清浄空気送風装置
  グローブボックスタイプの試験空間
  整流格子、縮流ノズルを使用した乱流低減風洞
  縮流ノズル出口の均一に生成されたレーザ光膜
  微弱散乱光専用高感度カメラ
 から成る試験装置で構成されます(イメージ図1)。併せて、専用画像処理ソフトウエアにより、カメラ映像をリアルタイムに高速計数する、専用画像処理ソフトウエアが附属します。
2)受託業務用の標準仕様装置(写真1)の性能
  試験空間:約600mm3
  送風量:320m3/h
  検知粒子サイズ:0.5μm、5μm以上の2段階
  検出周期:30Hz
  グローブボックス附帯設備:除電装置、100V給電、制御線やチューブ取付け用貫通部
3)特徴
 「L-Wind」は、以下の特徴を有します。
  グローブボックス内に設置した試験体から発生した微粒子の全量を直接計数できます。
  グローブボックスから数秒で検出断面に到達し、高速にサンプリングしますので、応答性の高い測定が可能で、発生量に時間変化がある試験体でも、その変化を忠実に計測できます。
  個数データとともに、可視化した動画も記録できますので、計測データのエビデンスをリアルタイム映像として確保することが可能です。
  予め標準粒子で感度調整された複数台のカメラを使用して、複数のサイズの粒子数を同時に測定できます。標準仕様装置では、医薬品製造現場で管理対象粒径である、0.5μm以上、5μm以上の微粒子数を同時計測できます。
  流体風洞の原理を使用しているため、検出断面を通過する流速が均一なため、正確に微粒子個数を濃度に換算することが可能です。
  給電やエアーチューブ、制御線などが気密性を維持して貫通できる構造となっていますので、駆動機器の試験も可能です。
3.今後の展開
 今後も、他には無い高感度な可視化技術ブランド「ViEST」の応用範囲や市場の拡大に資する技術開発の継続により、お客様の多様なニーズへの適合性をさらに進化させてまいります。
4.本件に関する問い合わせ先
新日本空調株式会社 経営企画本部 企画部 広報課 星野 昌亮
TEL:03−3639−2332(ダイヤルイン)
FAX:03−3639−2734
E-mail: HOSHINOM@snk.co.jp

新日本空調株式会社 ビジュアルソリューション事業部 岡本 隆太
TEL:03−3639−2206
FAX:03−3639−2377
E-mail: OKAMOTOR@snk.co.jp
 
 

図1 「L-Wind」の構成イメージ
 

写真1 「L-Wind」の標準仕様装置