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クリーンルーム向け横吹出し温度成層型空調システムを開発
〜混合空調システムと比較し、空調風量を削減しても対象空間の空気質を良好に維持する省エネ空調システム〜
2017.8.31
 
 新日本空調株式会社(代表取締役社長 夏井 博史)は、クリーンルームなどの大空間室内向けに、横吹出し温度成層型空調システムを新たに開発しました。
 温度成層型空調システムは、置換型空調システムとも呼ばれ、室内全体の空気質を均一にする混合空調システムとは異なり、天井が高い製造室などにおいて、製造装置の稼働空間を対象に空調を行うシステムです。そのため、対象空間の設計温度に対し小さい温度差で給気できることや、空調風量を減らしても対象空間の空気質を良好に維持することが長所として挙げられます。そしてこの度、既に発表している天吊りノズルタイプに加え、床置き横吹出し空調システムを新たに開発しました。
 床置き横吹出しタイプは、誘引とふく流性能を併せ持つ吹出口と、送風機、フィルタ、熱処理用コイルをユニット化し、対象空間の温度を均一化します(特許出願中)。また、天吊りノズルタイプは、天吊り空調機と吹出口を組み合わせ、空調機が室内床面へ設置できないなどの制限を受ける場合に適用します。
 本システムの採用により、内装工事を含む建設コストの13%、空気搬送エネルギーの55%を削減します(いずれも当社比)。また、本システムは、クリーンルーム用として開発しましたが、大空間の工場や電気室など、幅広い分野へ適用できます。
1.開発に至る経緯
 近年の半導体工場では、製造空間に求められる温度、清浄度条件が緩和される一方で、より一層の省エネルギー化が要求されています。また、製品及び製造装置の高度化により装置熱負荷が増加しており、混合空調システムの場合、天井にファンフィルタユニットを設置する方式(以下、天井FFUシステム)では装置発熱による高温の上昇気流が天井からのダウンフローで冷却しきれずに熱だまりが発生する懸念があります。そのため当社では、クリーンルームにおける装置発熱増加への対応と省エネルギー化を両立する、温度成層型の空調システムを開発しました。
2.本システムの特徴
 温度成層型空調システムは、室内全体の空気質を均一にする混合空調システムに対し、低層部を対象に空調を行う方式です。天井が高い居室や作業場のうち、居住域や作業域の設計温度に対し小さい温度差で給気ができることや、空調風量を減らしても居住域の空気質を良好に維持することが長所として挙げられます。当社ではクリーンルーム向けとして、既に発表している天吊りノズルタイプに加え、床置き横吹出しタイプの温度成層型空調システムを新たに開発しました。
 床置き横吹出しタイプは、誘引とふく流性能を併せ持つ吹出口と、送風機、フィルタ、熱処理用コイルでユニット化しました。図1に本システムのイメージを示します。床置きの吹出しユニットから横向きに吹き出される清浄空気が、装置発熱により発生する上昇気流を置換するように供給されることで、従来方式より少ない送風量で対象空間の温度、清浄度を維持することが可能です。
図1 床置き横吹出し型による温度成層型空調システムのイメージ
図1 床置き横吹出し型による温度成層型空調システムのイメージ
 本システムの導入を想定したCFD解析結果例を示します。空間の左右の壁に床置き吹出しユニットを設置した条件における空間断面の温度分布の解析結果を図2に、同結果から得られる空気温度の等値面図を図3に示します。図2に示した濃灰色の直方体は製造装置を模擬しており、各々の装置に発熱負荷を与えてCFD解析を行いました。図2から、床置き吹出しユニットから送風される空調空気により製造装置発熱が上部へ速やかに排出されて高さ方向に温度成層が形成されることが確認でき、その結果、温度の等値面が水平に形成されることが図3から確認できます。本システム開発は、検証施設による実測とCFD解析を並行して行っており、これら解析結果の傾向は、検証施設で実施した実測結果と一致しています。
図2 装置の発熱を考慮したCFD解析例(断面温度分布)
図2 装置の発熱を考慮したCFD解析例(断面温度分布)
図3装置の発熱を考慮したCFD解析例(温度等値面)
図3 装置の発熱を考慮したCFD解析例(温度等値面)
 もう1つの方式である天吊りノズルタイプは、周辺環境からの誘引を極力低減して清浄空気を床面まで到達させることを可能としたノズルユニットを天井部分に設置し、対象空間に温度成層を形成する方式です。
 天井部分からの空調空気送風により温度成層を形成するためには、床置き横吹出しタイプと同様に、製造装置発熱により生じる上昇気流を置換する空調空気を床面まで到達させる必要があります。従来のダクトや制気口では、吹出し気流と周辺空気との混合が起きやすく、清浄空気を床面まで到達させることが困難でした。写真1に、開発した吹出しノズルを設置した場合(右)と、設置しないで丸ダクトから直接吹き出した場合(左)の気流形状の比較を示します。開発したノズルユニットの気流(断面風速1.0m/s)が、周辺空気を誘引することなく真っ直ぐ下向きに送風されていることが分かります。本ノズルを2連結、4連結と組み合わせて同様の気流形状を実現した吹出しユニットを提供します(写真2)。
 本システムはクリーンルームの空調システム構築に際し、天井FFUシステムと比較して、内装工事を含む建設コストの13%、空気搬送エネルギーの55%削減を実現します(いずれも当社比)。
丸ダクトからの吹出し気流(開発したノズル設置せず) 開発したノズルからの吹出し気流)
写真1 天吊りノズルからの気流
(左:丸ダクトからの吹出し気流(開発したノズル設置せず)、右:開発したノズルからの吹出し気流)
 
写真2天吊りタイプノズルユニット(4連結タイプ)
写真2 天吊りタイプノズルユニット(4連結タイプ)
(製作:空調技研工業株式会社)
3.今後の展開
 床置き横吹出しタイプと天吊りノズルタイプ2種類の温度成層型空調システムは、混合空調システムと比較し空調風量を削減しても生産空間の温度や清浄度などの空気質を維持しつつ、省エネルギー化を実現します。
 本システムはクリーンルーム用として開発しましたが、大空間の工場や電気室などの用途へも適用可能であり、今後は幅広い分野への展開を視野に入れています。
4.本件に関する問い合わせ先
新日本空調株式会社 経営企画本部 企画部 広報課 星野 昌亮
TEL:03−3639−2332(ダイヤルイン)
FAX:03−3639−2734
E-mail: hoshinom@snk.co.jp

新日本空調株式会社 産業施設事部 設計部 深谷 良丸
TEL:03−3639−2623(ダイヤルイン)
FAX:03−3639−2744
E-mail: fukayay@snk.co.jp