~フェライト系ステンレス鋼材による配管システムの
長寿命化・低炭素化・施工省力化を実現~
新日本空調株式会社(代表取締役社長:前川伸二)と自動車用排気系部品メーカーである株式会社三五(代表取締役社長:恒川幸三 愛知県名古屋市)は、配管システムの長寿命化、低炭素化、及び施工作業の省力化を実現する、フェライト系ステンレス鋼材の継手レス加工技術による次世代配管システム FP35(エフピーサンゴ)(以降、本システム)を開発、実用化しました。本システムは従来の配管用炭素鋼鋼管(以降、SGP)と比較して、継手数の削減により配管施工時間を最大70 %低減できることをラボ実証において確認し、2020年度には実建物への導入を完了しました。今後、本システムを積極的に提案、展開し、脱炭素社会実現への貢献を行なってまいります。
1.経緯
地球温暖化対策として世界的な脱炭素化の取り組みが加速しており、国内においても「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されました。建築設備においては、LCA(Life Cycle Assessment)を考慮し、資材の製造・調達から建物の設計・施工、さらには運用・改修・解体にわたる各段階で、温室効果ガスのさらなる排出抑制に取り組む必要があります。
配管材料におけるステンレス配管(汎用的な材質はSUS304)の採用は、設備の長寿命化とライフサイクルコストの低減に繋がりますが、導入コストがかかります。本システムは、レアメタルであるニッケルを含まず比較的安価なフェライト系ステンレス鋼(SUS436)を採用し、SUS436がSUS304に比べて曲げ加工等が難しいという技術課題に対して、株式会社三五が保有する自動車用排気系部品等のパイプ加工、板金プレス加工、棒材・線材加工の先進的な技術に基づき、これを継手レスで加工する技術を確立しました(株式会社三五にて特許申請済み)。さらに、当社における建築設備の設計施工の長年の実績・ノウハウに基づき、施工省力化を図るプレハブ化手法を組み合わせ、次世代配管システムとして開発、実用化に至りました。
2.本システムの特徴
本システムは、SGPに比べて耐腐食性、耐熱性、耐酸化性、熱疲労特性などに優れるSUS436を、建築設備用配管材料に採用し、工場で製作した継手レス加工部材を、施工現場においてプレス式管継手とハウジング式管継手により接続するシステムです(図1)。配管口径は、20Su~100Su(SGPでは15A~100Aに相当)に対応します。
図1 本システムの概要
本システムの特徴は以下のとおりです(図2)。
1.長寿命・・・耐腐食性を有するフェライト系ステンレス鋼(SUS436)の採用
2.高品質・・・高度な継手レス加工技術により接続箇所を低減
3.低コスト・・・従来工法(SGP)に比べ同等以下を実現 (※配管・継手数量および施工状況による)
図2 本システムの特徴
3.本システムにおける部材低減効果と施工省力化効果
本システムの施工省力化に係るラボ実証を行ない、従来工法(SGP)に比べ作業時間を最大で70 %低減できることを確認しました(図3)。また、2020年度に株式会社三五豊田技術センターM棟新築工事において、空調用加湿給水配管、圧縮空気配管へ本システムを全面的に導入し、SGPでの施工に比べ配管部材数を大幅に低減できる見通しを得ました(図4)。
図3 ラボ実証における施工省力化の検証結果
図4 現場導入における配管部材数の低減効果
4.今後の予定
本技術に係る施工省力化の検証結果については、2021年度の空気調和・衛生工学会大会において発表予定です。
当社は、配管システムの長寿命化、低炭素化、及び施工作業の省力化を実現する本システムを積極的に提案、展開し、脱炭素社会実現への貢献を行なってまいります。
新日本空調グループのSDGsへの貢献について
新日本空調グループは、企業が中長期的に持続的成長を目指す上で重視すべき3つの側面、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を視野に入れたESG経営を実行しています。当社グループの事業特性を踏まえた上で、ESG経営の観点から、あらゆる事業活動における課題を特定し、中長期的取組み目標を定め、SDGsに代表される国際的社会課題の解決に資する事業活動を推進します。
本リリースの取り組みは、SDGsにおける2つの目標に貢献しています。
目標 12:つくる責任つかう責任
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新日本空調株式会社 経営企画本部 企画部
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新日本空調株式会社 事業推進本部
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