新日本空調 採用サイト

周囲を巻きこみ、
プロジェクトを牽引

延島が担当する「東京ミッドタウン・タワー」は、地上54階建ての巨大建築物。その高さはじつに248メートルにも及ぶ。当社の担当工区は地下5階から地上29階までの施工だったが、これほどの規模は新日本空調にとって未知の領域。延島にも一筋縄ではいかないことが容易に想像できた。「納期の短さもさることながら、我々を含めた関連会社の足並みが揃っていないことに危機感を覚えました」。そこで、延島は持ち前のリーダーシップを発揮して、現場全体の連携を後押し。必要とあれば、関連会社の担当者を一喝することもいとわない。すべては滞りなく竣工を迎えるため。延島が起こした小さなアクションはやがて大きなうねりとなって、プロジェクトを推し進めていった。

創意工夫して、
高い壁を乗り越える

作業効率を上げるため、プロジェクトには様々なアイデアが盛りこまれた。延島が送風用に提案した「フレキシブルダクト」もそのひとつだ。伸縮自在かつあらゆる方向に固定できる蛇腹状のダクトで、急な設計変更にも柔軟に対応できる。軽量な素材でできているため、作業員の負担が比較的少なく施工の手間も軽減される。「他のフロアの担当者とも話をつけて、ほぼ全てのフロアをフレキシブルダクトで統一しました」。フレキシブルダクトを多用して工数を削減する手法は、今では業界の定番に。延島も「ミッドタウンのプロジェクトによって、当社の技術・ノウハウともに大きく底上げされ、その後の大規模工事への足掛けとなる会社の大きな実績となりました」と当時をふりかえる。

ステージが変わっても
挑戦は続く

2007年1月、とうとう東京ミッドタウンが竣工。デベロッパーの計らいで、現場の功労者の名を刻んだ銘板が用意される。施工者にとって、それは長い闘いを走り抜けてきた証にほかならない。銘板にプロジェクトメンバーの名を見つけたとき、延島の胸に熱いものがこみあげた。「ゼネコンの担当者からも『素晴らしいチームワークだった』と、お褒めの言葉をいただきました。仲間を信じてきて本当によかったです。苦労はしたけれど、終わってしまえばすべていい思い出。竣工を迎えるのがどうにも名残り惜しかったですね」。そんな延島も今では支店を背負う管理職という立場に。しかし、前線を退くどころか、以前にも増して現場のことを考える時間が増えた。「人員不足や残業規制など、建設業界は転換期を迎えています。成り行き任せでは企業の成長は望めず、これまでのやり方を精査し取捨選択して、管理職が道筋を示していかなくてはなりません。現場の負担は凄まじいし、精神的にも相当厳しい、それを知っているからこそ、勝てる組織で勝負できる環境を用意し若手の能力を認めて活躍できる機会をこれまで以上に増やしていくことをしてあげたい」。その思いの根底には、顧客のニーズや建設業界への還元と何より働く仲間の成功を一番に考えてきたポリシーが働いている。

自社の強みを活かして、
ポジションを確立

プロジェクトが動き出して間もなく、渡邊は各関連会社に図面の仕様統一を呼びかけた。各社の独自ルールに基づいて図面を引くと、のちに混乱を招くと考えたからだ。「機器番号の表記の仕方から、使用するフォントまで細かく決めました。積極的に提案していくのが私のスタイル。若手時代からそう叩きこまれてきたので、気後れすることもありません」。もちろん、そのスタイルにはミッドタウン（六本木）で所長を務めた延島のマインドも息づいている。 顧客目線に立つことの大切さを受け継いでいたからこそ、勘所を押さえた提案が可能になる。「例えば、他社が見落としがちな必要項目をしっかりと見積もりに加えていました。細やかな配慮ができていたから、現場でも発言権が得られたのだと思います」。

部署の垣根を超えて
プロジェクトと向き合う

中島も渡邊とともにプロジェクトに参加し、はじめに「積算」を担当した。積算とは、図面をもとに施工に必要な材料費や人件費などを算出すること。正確な見積もりを出すうえで欠かせない業務だが、他業務の事業部から異動してきたばかりの中島には戸惑いの連続だった。突発的な設計変更も日常茶飯事で、度重なる設計図面や積算の見直しに翻弄された。「この業界ではよくあることですが、当時は都市施設事業部に来たばかりで新築案件の設計や積算の進め方がわかっていなくて。渡邊さんのフォローに何度も救われました」。他部署に気兼ねなく相談できる環境も大きな励みになった。「あの一体感があったから、最後まで士気を保つことができた」と、笑みをこぼす。その誇らしげな表情が結束力の強さを物語っていた。

ミッドタウンでの経験が
明日の糧になる

日比谷のランドマークとしてすっかり定着した東京ミッドタウン日比谷。「ダンシングタワー」がコンセプトの波打つような外装に中島は並々ならぬ思いがあるという。「設計では様々な計算を行いますが、窓やフロアの形が特徴的で、特に外装の熱負荷計算には手を焼きました。当時、平面で描いていたミッドタウンが、立体となり目の前に現れたときの感動は今でも鮮明に覚えています。設計図をベースに、効率的で有益な施工法を検討し、設備を構築していく技術部の技術力の高さには驚かされます。私たちの経験を社内でも広く共有していけるといいですね」。

メンバー一人ひとりの
成長を見届ける

そんな松成を陰ながら見守ってきたのが、上司にあたる飯田だ。ゼネコンからそれまでの仕事を評価され指名を受けてプロジェクトに参加し、現場の所長を務めていた。 立場上、仕事での接点は少なかったが、松成の働きぶりは今でも印象に残っている。「彼は行動力があり、業務に真正面から向き合うタイプ。後輩ができてからは、先輩としてよく後輩の面倒を見ていましたね」。日々の業務から、松成の判断力の高さも見てとれた。「ものごとに優先順位をつけて、効率のいい進め方を模索していたようです。実際に彼のアイデアがいくつか業務に採用されたこともありますよ」。適切な距離を保ちながら、プロジェクトメンバー一人ひとりの能力を最大限に引き出す。そんな飯田のマネジメントがあったからこそ、松成の主体性が磨かれていったに違いない。

いつか憧れの上司を
超える存在に

試行錯誤を繰り返す松成を前にして、飯田の脳裏にふと古い記憶が蘇る。「私が新人の頃は、延島さんが師匠のような存在でした。当時、延島さんは課長だったのですが、私のいる現場まで出向いて丁寧にレクチャーしてくれたんです」。東京ミッドタウン八重洲の工事で所長を担当する話が浮上した際、飯田の背中を押してくれたのも延島だった。 「飯田はどうしたい？ 意見を聞かせてほしい」。延島に問いかけられた飯田は、思いの丈をぶつけた。「延島さんへの憧れもあったので、謹んで引き受けました。私も延島さんと同じく30代での挑戦です。今だからいえるけど、延島さん以上に活躍してやるって意気込んでましたよ（笑）」

新日本空調の未来を
真っすぐに見据えて

飯田の上司としての姿について、松成は「真のプロッフェショナル」と断言する。「工事は時間との闘い。納期が迫るとつい楽な道を選びたくなりますが、飯田さんは一切妥協しませんでした」。クオリティが犠牲になるとわかりながらも、心が揺らいでしまう瞬間は誰にでも訪れる。 自分の弱さにどう打ち勝つか――。自身が現場を仕切る立場になってからは、改めて飯田の凄さが身に染みる。東京ミッドタウン八重洲の工事で見せた飯田の立ち振る舞いは、現在でも松成の“お手本”だ。「進捗管理や折衝、指示の出し方など、先輩や上司から学ぶことだらけでした。自分も早く、あのレベルにまで到達したいです」。熱く語る松成のまなざしは、すでにプロそのもの。自社の未来を真っすぐ見据えており、“新日本空調らしさ”に満ち溢れている。