本文へスキップします。

ページタイトル(エディタ)
ページタイトル背景画像

PRESS RELEASE

PRESS RELEASE

2017年01月23日

既製杭を用いた「地熱トルネード工法™」を市場投入
~再生可能エネルギーの活用を促進し、省エネと低炭素化に貢献~
 新日本空調株式会社(東京都中央区 夏井 博史 社長)は、ジャパンパイル株式会社(東京都中央区 黒瀬 晃 社長)と共同開発した既製杭を用いた地中熱利用杭工法「地熱トルネード工法」を市場投入致します。 
 本工法は、二重らせん状の採熱管(ダブルスパイラルチューブ)を縮めた状態で予め既製杭の内部に設置し、杭施工時に採熱管を伸長させて設置します。そのため、従来必要であった、採熱管を設置する作業員の削減などコストダウンを可能とした工法となっています。なお、本工法については両社で特許を取得しています。(特許第5780663号)
 現在まで、施工実験を2回おこない、埋設後の採熱管の水圧試験や既製杭の掘り起し検証により、既製杭回転埋設の影響による採熱管の健全性、設置精度に問題がないことを確認しています。また、2年以上の採熱に関する長期測定も継続実施しており、優れた採熱特性を確認しています。
 これらの実績を踏まえ、「地熱トルネード工法」を市場投入することに致しました。
 最近の地中熱利用を取り巻く環境として、本年4月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が施行され、建築物の省エネ対策がより一層求められます。今後はこれらの省エネ対策と低炭素化に向け「地熱トルネード工法」が貢献できるよう普及促進に努めます。
1.現状の地中熱利用
 欧米、中国では政策として、外気温に比べ一定温度を保つ地中熱の有効利用が促進されていますが、日本では政策的に地中熱利用に対して積極的に促進されていなかったため、地中熱利用の実施例は他国に比べわずかな利用に留まっています。 
 しかし、最近ではCOP21(パリ協定)が発効されたように、世界的にCO2削減に向けた動きが盛んになっています。このような背景もあり、平成27年7月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が成立しました。そして、平成29年4月より建築確認申請時に省エネルギーに関する審査が施行される予定です。
 これらの省エネルギー対策技術の一方策として地中熱利用が注目されています。従来の技術としては、地中深くボーリング掘削した穴に採熱管を設置するボアホール型の地中熱利用方法が主流でした。最近では同様に地中深く穴を掘削して施工を行う『基礎杭』を利用する技術が開発され、掘削費用の削減による地中熱利用のコストダウンが行われています。しかし、いずれの地中熱利用方法においても、採熱管を設置するための専任の作業員を必要としていました。
 今回開発した「地熱トルネード工法」は、この採熱管の設置を施工機械で行うため、専任の作業員を削減することができ、更にコストダウンを可能にしました。
2.地熱トルネード工法の特徴
(1)特徴その1
 「地熱トルネード工法」は、図-1に示すように予め既製杭内部にスパイラル状の採熱管を設置し、施工機械で伸長して配置するため、採熱管を設置するための専任の作業員を削減できます。また、従来通りの既製杭プレボーリング工法における回転埋設施工が可能となっています。
図-1 地熱トルネード工法施工工程
図-1 地熱トルネード工法施工工程
(2)特徴その2
 従来の基礎杭を利用した地中熱利用では、①採熱管を正確な位置に設置できないこと、②採熱管を杭外側に配置する場合は採熱管損傷の危険性があること、などの問題点がありました。写真-1は「地熱トルネード工法」で埋設した杭を掘り起して半割にし、採熱管の配置状況を確認したものです。写真-2のように埋設前に設置した採熱管が正確に配置されていることが確認できました。また、2回の施工実験により、過度に杭を回転させながら埋設した施工においても水圧試験により採熱管の健全性を確認しています。
写真-1 掘り起しによる採熱管の配置状況
写真-1 掘り起しによる採熱管の配置状況
写真-2 ダブルスパイラルチューブの配置状況
写真-2 ダブルスパイラルチューブの配置状況
(3)特徴その3
 従来の基礎杭による地中熱利用方法では、杭上部に配置されている採熱管が根切り掘削時の障害となり、施工機械などで損傷する場合がありました。しかし、「地熱トルネード工法」は杭頭部に採熱管先端を配置するため、根切り掘削時の障害とならず、スムーズな掘削施工が可能となります。
図-2 施工後の採熱管(チューブ)上部の問題
図-2 施工後の採熱管(チューブ)上部の問題
(4)特徴その4
 従来の工法では、埋設後の採熱管の性能に関する詳細なデータの報告はわずかでした。地熱トルネード工法では写真-3に示すように、千葉県において2年以上に渡る長期採放熱測定を行っており、地中熱利用に関する正確な設計熱量を提供することができます。すでに、測定結果については日本建築学会、空気調和・衛生工学会、日本地熱学会等で報告しております。
写真-3 千葉県における長期採放熱測定状況
写真-3 千葉県における長期採放熱測定状況
3.今後の展開
 今後は、共同開発を行ったジャパンパイル株式会社と連携しながら「地熱トルネード工法」を市場投入し、省エネと低炭素化に貢献できるよう普及促進に努めます。
4.本件に関する問い合わせ先
新日本空調株式会社 経営企画本部 企画部 広報課 星野 昌亮
TEL:03-3639-2332(ダイヤルイン)
FAX:03-3639-2734
E-mail: hoshinom@snk.co.jp

新日本空調株式会社 技術本部 技術企画部 佐藤 秀幸
TEL:03-3639-2702
FAX:03-3639-2736
E-mail: satohh@snk.co.jp