本文へスキップします。

ページタイトル(エディタ)
ページタイトル背景画像

PRESS RELEASE

PRESS RELEASE

2011年06月16日

低騒音コンパクト型空調機を開発・販売
~音響的ソフト境界を利用し低周波音を最大7dB減衰~
 新日本空調(株)と新晃工業(株)は「音響的ソフト境界」の消音原理を利用した低騒音コンパクト型空調機を開発し、2011年7月1日より新晃工業㈱から販売を開始します。
 本空調機は、新日本空調(株)が開発したソフトダクト消音器と、新晃工業(株)のプラグファン内蔵コンパクト型空調機とを組み合わせ、グラスウールなどの吸音材を使用せず、高効率プラグファン特有の低周波(250Hz)を減音させた空調機です。消音器の構造はシンプルで低コストなため、今後プラグファン内蔵のコンパクト型空調機のラインナップに取り入れ、低騒音ニーズに向けた受注活動を展開する予定です。
1.開発に至る経緯
 近年、空調機内蔵ファンはシロッコファンに替わり、省エネ性の高いプラグファンを採用する例が増えています。しかしプラグファンの発生騒音は、シロッコファンと比較して概ね250Hzの低周波数域で高い傾向にあります。
 通常、空調機ファンから発生する騒音は、吸音材を利用した消音エルボやサイレンサーなどの消音器を、空調機外側のダクトに取付けて低減していますが、これらの消音器は低周波より中高周波の低減に有利な特性であることから、低周波を減音するために過大なサイズとなっている場合も少なくありません。また、消音器と空調機間のダクトからの遮音を十分検討する必要もあることから、空調機本体から発生する低周波騒音をできるだけ低く抑えることが望まれます。
 そこで、藤原恭司氏(九州大学名誉教授)が発明した「音響的ソフト境界」を利用した消音技術“ソフトダクト”に注目しました。新日本空調㈱では、既に“ソフトダクト”技術を応用した消音器を他メーカーと開発・販売しており、低周波の減衰効果は実証されていることから、新晃工業(株)と共同して高効率プラグファン特有の低周波(250Hz)を減音できる低騒音コンパクト型空調機を開発しました。
2.“ソフトダクト”消音の原理
 空調機に組み込む“ソフトダクト”消音の原理を紹介します。
音のエネルギー反射率が1、表面音圧が0となるような境界のことを「音響的ソフト境界」と呼びます。空気の流路内の対向する2面にこのような境界を形成すると、音はその流路の入口で反射され、進入できなくなります。これが“ソフトダクト”消音の原理です。
 「音響的ソフト境界」を実現する方法の一つが、「1/4波長音響管」を用いる方法です。消音したい周波数の1/4波長に等しい深さをもつ音響管を、流路内の対向面に配置します。音響管に進入した音は、底で反射して入口に戻ってくるあいだに1/4波長×2=1/2波長進みます。すると、音響管入口ではこの反射波と入射波の位相が反転しており、相殺して音圧が0となり、減音する周波数は限られますが、「音響的ソフト境界」が近似的に形成されます(図1)。
 一般に空調機内部のファンは比較的下方に位置し、特にプラグファンは占有スペースが小さく空気の吐出側に空間的な余裕があります(図2)。しかしソフトダクトの原理上、音響管サイズ、特に奥行き寸法は周波数と関係し、長さは減音量に関係します。
 そこで外形寸法にあまり影響しない範囲でサイズを決定するため、試行錯誤を繰り返し、減音量は空調機の外形寸法、特に高さは現状で納まることを条件に検討した結果、5dB以上減音すれば緩やかな右肩下がりの騒音特性となりますが、測定結果では7dBまで減音が可能であることが分りました。また、音響管の外側仕切り板を空調機本体の外板と共用とすることで、従来の空調機と同サイズで組み込むことに成功しました。また、複数の仕切り板のみで構成されるコンパクトでシンプルな構造により、コストも抑えられました。
“ソフトダクト”消音の原理

3.“ソフトダクト消音器”組込み空調機の特徴
(1) グラスウールのような吸音材を使用しないため、繊維の飛散、油分や塵あいによる性能の劣化がなく、廃棄時に鉄板と分ける作業が不要。
(2) アクティブ消音器のように電力を消費せず、アンプ、スピーカー、マイク等の機器も不要。
(3) 低周波の250Hzにおいて7dB減音可能(図3参照)。
“ソフトダクト消音器”組込み空調機の特徴

4.「ソフトダクト組込み空調機」の種類
 コンパクト型空調機は受注生産であるため設計が必要となりますが、基準ユニットサイズの#40~#300(2,400~18,000m3/h)での対応が可能です。なお、低騒音コンパクト型空調機として2011年7月1日より新晃工業(株)から販売を開始する予定です。
5.今後の展開
 今後は一般ビルおよび工場等への導入に向け、より低騒音のニーズに応えるべく活動を展開し、電力不要で恒久的なこの消音装置の積極的普及を目指します。
6.本件に関する問い合わせ先
新日本空調株式会社 経営企画本部 広報課 高辻 勇
TEL: 03-3639-2332(ダイヤルイン)
FAX: 03-3639-2734
E-mail: TAKATSUJII@snk.co.jp

新日本空調株式会社 都市施設事業部 施工技術推進室  田村 稔
TEL: 03-3639-3570(ダイヤルイン)
FAX: 03-3639-2748
E-mail: TAMURAM1@snk.co.jp

新晃工業株式会社 営業部 樋下(ヒノシタ) 雄一
TEL: 03-5640-4155
FAX: 03-5640-4185
E-mail: hinosita@sinko.co.jp