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PRESS RELEASE

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2008年11月06日

熱源システムのモデリングによる「ポンプ制御技術(特許出願中)」を開発

年間ポンプ動力を40~60%削減可能
 新日本空調(株)は、単式ポンプ方式の配管設備において、流量と圧力の両方を同時に制御可能なポンプ制御技術 (特許出願中)を開発しました。
  本ポンプ制御技術は、熱源機器・ポンプ・配管類など熱源システムの一部をポンプユニットとしてモデル化し、予め実際に導入する施設のポンプニユットの流量と圧力の関係を実測してプログラムに組み込むことにより、空調機側の流量と配管抵抗から決定されるヘッダ-間差圧を用いてポンプ運転周波数と設定圧力を演算し、熱源機器の許容運転流量範囲内でポンプを最適に制御します。
 これにより、従来不可能であった1台のポンプで“流量と圧力の両方を制御”しながら熱源機器を安定して運転することが可能となり、年間ポンプ動力を40~60%削減できると共に、2次ポンプが不要になるため機械室のスペースを削減できます。
  この熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術は、単式ポンプ方式だけでなく複式ポンプ方式の2次ポンプなどにも応用が可能なため、新築・リニューアルを問わず、様々な施設・建物への展開が期待されます。
「 熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術 の特徴 」
1) 1台のポンプで“流量と圧力を同時に制御”が可能
2) 2次ポンプが不要になるので“機械室スペースの削減”が可能
3) 熱源機器の機種や容量が異なる組み合わせにも最適な制御が可能
4) 複式ポンプ方式などにも応用可能
5) 既存設備への導入が容易
1. 熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術の概要
 “熱源システムのモデリング”とは、一つの配管系統の熱源機器、配管、弁類、ポンプ等を“ポンプユニットとしてモデル化”し、予め実際に導入する施設のポンプの周波数と流量などを変化させながら運転することで、その時の“ポンプユニット”における配管抵抗(ヘッダー間差圧)やポンプ能力などを実測し、得た諸データをプログラムの中に組み込んで制御する技術です。
  これにより、様々な運転状況における流量とヘッダー間差圧の測定値を基に、プログラムに組み込まれた“ポンプ能力”と“配管抵抗特性”から最適なポンプ運転周波数を算出し、熱源機器を安定運転させながら流量と圧力の両方を同時に可変制御します。


 熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術
 1次ポンプ方式(単式ポンプ方式)に「熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術」を採用することで、1次2次ポンプ方式(複式ポンプ方式)の末端圧回転数制御と同程度の省エネルギーを実現します。
  また、2次ポンプが不要なため設備費用を低減でき、機械室スペースも削減することが可能です。
 
 
 
2. 開発に至る経緯
 近年、地球温暖化対策が大きな社会問題となっており、省エネルギ-化への更なる取り組みが求められています。熱源機器に於いても、冷温水や冷却水の“変流量対応の省エネ機器”を導入するなど、省エネルギ-化への取り組みが広がっています。
 大規模ビル用空調設備は、冷房時に冷水、暖房時に温水をビル内の空調システムに循環させて温度調整を行うのが一般的ですが、既存ビルなどではポンプのインバーター(以下INV)化などの省エネ対策がされていない場合があります。その場合、ポンプの循環流量と圧力が一定であるため、空調システムが要求していない過剰な循環流量はバイパス管を通り、熱交換されずに冷温熱源機側に返すと共に、過剰な圧力は空調機側に設置したバルブを絞って減圧する必要があり、エネルギーの無駄がありました。
 これを改善する省エネ技術として、ポンプをINV化する技術がありますが、従来は1系統のポンプに対して“バイパス流量の削減”もしくは“圧力の削減”のどちらか一方しか実現できず、1次ポンプしか持たない単式ポンプ方式では、“バイパス流量の削減”に留まっていました。
 また、バイパス流量と圧力の両方を削減するためには、1次ポンプと2次ポンプからなる複式ポンプ方式を採用し、1次ポンプのINV化で“バイパス流量の削減”を、2次ポンプのINV化で“圧力の削減”を行う必要があり、INV化するポンプ設置台数が増えてイニシャルコストが上昇していました。
 そこで新日本空調(株)は、単式ポンプ方式の配管設備において、流量と圧力の両方を同時に制御しながら熱源機器を安定して運転することが可能な「熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術」の開発を2004年4月より開始し、2008年9月に完了しました。
3. 代表的なオフィスビルによる省エネルギ-評価例
 代表的なオフィスビル(延べ床面積:約10,000m2)を設定し、年間ポンプ動力を算出した結果を表-1に示します。従来のポンプ制御方式(インバーター無し)に対し、熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術を導入すると最大で約63.5%の動力削減率となりました。(熱源機器が60~105%までの変流量に適応可能として試算)また、流量のみを可変とした従来のポンプ制御方式(インバーター有り)に対しては、約44.0%の動力削減となりました。
表-1 代表的なオフィスビルによる省エネルギ-評価例
ポンプ制御方法 年間ポンプ動力 (MWh) Aに対する削減率 (%) Bに対する削減率 (%)
A 従来のポンプ制御方法(インバーター無し) 80.6
B 従来のポンプ制御方法(インバーター有り) 52.5(△33.2) 34.8
熱源システムのモデリングによるポンプ制御技術 29.4(△60.6) 63.5 44.0
4. 今後の展開
 今後は単式ポンプだけでなく、複式ポンプ方式の2次ポンプや冷却水ポンプ、またはブ-スタ-ポンプなど、適用範囲を広げていく予定です。 また、軽微な改修工事で導入が可能であることから、新築のみならず、リニューアルもターゲットとして技術提案していきます。
5. 本件に関する問合せ先
新日本空調株式会社 経営企画本部 広報課 高辻 勇
TEL: 03-3639-2332(ダイヤルイン)
FAX: 03-3639-2734 
E-mail: TAKATSUJII@snk.co.jp

新日本空調株式会社   技術本部  技術企画部  佐藤 秀幸
TEL: 03-3639-2702
FAX: 03-3639-2736
E-mail: SATOHH@snk.co.jp