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PRESS RELEASE

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2019年11月27日

天吊り設備機器の落下防止工法「O-T-9(オーティーナイン)」を実用化

~ 落下防止を短時間で確実に実現する新たな建築設備の耐震対策工法~




新日本空調株式会社(代表取締役社長 夏井 博史)は、建築設備の耐震対策工法として、地震時に機器の吊りボルトが破断した際に確実な落下防止が行える新工法「O-T-9(オーティーナイン)」(特許出願中)を実用化致しました。
O-T-9工法は、既存設備において吊りボルトの耐震補強が難しい箇所、比較的大型の機器等に対して、機器本体の落下防止を図る画期的な新工法です。本工法は、既存設備・新築設備のいずれにも適用可能であり、施工時に新たな吊り元を必要とせず、均一な施工品質が確保でき、従来工法に比べて約1/3の作業時間で施工が行える、という多くの特長を有しています。
2019年12月より、O-T-9工法用金具「O-T-9セット」の一般販売を予定しております。製造・販売は日栄インテック株式会社(東京都荒川区 代表取締役社長 高橋 善春)が対応します。
東日本大震災以降、建築設備の耐震対策に対する要望が高まっています。建築設備の安全性を高める技術を通じて社会に貢献することは、当社の使命であり、今回開発した新工法「O-T-9(オーティーナイン)」は、それを具現化したものです。2016年から導入している、ワイヤを用いた「柔(にゅー)ワイヤ工法」(特許 第6170198号)と合わせ、お客様にさらなる安全・安心を提供致します。


1.落下防止工法「O-T-9(オーティーナイン)」の開発経緯

   東日本大震災以降、建築設備における吊り機器の耐震対策として、新築工事においては振れ止め補強を行なうことが標準的になっています。しかし、既存設備や振れ止め補強が困難な吊り機器に対しては、作業工数が多大であることや、作業自体が困難であることなどの理由により耐震対策が進んでいない現状があります。
   当社は、2015年に技術開発研究所に耐震試験設備を設け、設備機器に関する耐
震技術の開発・検証を推進してきました。その結果従来の斜材を用いた補強方法(在来工法)において、補強金具から吊り機器の支持部までの吊りボルト部においても破断リスクが確認されたことから、新たな落下防止工法の開発に着手しました(図1、図2、写真1)



 
図1 振れ止め補強のない吊り機器における地震時の吊りボルト破断リスク




図2 在来工法で補強した吊り機器における地震時の吊りボルト破断リスク




写真1 吊り機器における吊りボルト破断状況
(加振条件:Sweep波(震度7相当)による繰り返し加振)


2.落下防止工法「O-T-9(オーティーナイン)」の概要

   1)構成部材と取付けイメージ
   O-T-9工法における構成部材と、取り付けイメージを図3に示します。本工法は、落下防止金具、ワイヤロープ、ワイヤ引留金具、テンションバネを組み合わせて施工します。吊り機器の4本の吊りボルトに対して、それぞれ上部(吊り元)と下部(機器支持部)に落下防止金具を取り付け、これをワイヤと引留金具でループ状に繋げます。ワイヤにテンションバネを通すことで、ワイヤ張力を均一に掛けることができます。




図3 O-T-9工法の構成部材の一例



   2)本工法における落下防止の仕組み
   吊り機器において吊りボルトの破断リスクの高い箇所は、図1に示すように振れ止め補強がない場合は吊り元部A点、図2に示すような在来工法が施された場合は振れ止め補強金具下側B点においても破断のリスクがあります。O-T-9工法では、このA点より上部、且つB点より下部に落下防止金具を取り付け、上下2つの金具を介してワイヤをループ状に繋ぎます(図4)。これにより、A点、B点を含む落下防止金具間の吊りボルトのどこで破断が起きても、ループ状に張られたワイヤが吊り機器の落下を防止します。


図4 O-T-9工法による落下防止の仕組み



   また、テンションバネによりワイヤに初期張力を掛ける独自の方法により、吊りボルトが破断して機器が落下する際にワイヤにかかる衝撃荷重を抑制し、新規に開発した落下防止金具を組合せることで、ワイヤの破断が生じない仕組みを構築しました。

   3)本工法の適用条件
   本工法の適用条件は、以下の通りです。
      ・4本吊りの機器と設備類の総重量100kg以下(但し、吊りボルト4本全てに設置が必要)
      ・吊りボルト径 W3/8(3分ウィットねじ)


3.落下防止工法「O-T-9(オーティーナイン)」の特長

   O-T-9工法は、前項2.で示した確実な落下防止機能に加え、以下の特長を有しています。

   1)施工時に新たな吊り元が不要
   本工法では、落下防止金具を吊りボルトに取付けるため、設置に際して他の既存設備との干渉を考慮する必要がありません。新たな吊り元を確保するための後打ちアンカー等の施工も不要です。

   2)均一な施工品質を確保
   ループ状にワイヤを張る際に、吊りボルト破断時にワイヤに掛かる衝撃荷重を抑制するテンションバネを取付けます。テンションバネが伸びることでワイヤにテンションが掛かったことが確認できるため、作業者の腕力や感覚に左右されず、均一な施工品質が確保されます。

   3)従来の落下防止方法よりも施工時間を短縮
   既存設備への適用は、中間挿入ナットを用いることで短時間に設置が可能です。図5に示す従来の落下防止対策方法を想定し、O-T-9工法との施工時間を比較しました。本工法では、新規に後打ちアンカーを施工する必要がないため、従来工法に比べて設置作業時間を約1/3に短縮できます(図6)。


図5 比較対象工法(左:従来の対策方法、右:O-T-9工法)



図6 想定施工時間の比較



   O-T-9工法は、当社が2016年に開発した吊り機器の振れ止め工法「柔ワイヤ工法」と同様に、導入時に協力会社(施工会社)が得る作業メリットと、導入後にお客様が享受する暮らしの安全というメリットとを両立した技術です。
   高所や狭所、障害物等で振れ止め補強が行えない箇所、落下防止用に新たな吊り元が取れない箇所などの耐震対策が困難な既存設備や、在来工法が施してあっても地震時に落下が懸念される大型で重量のある吊り機器などに、簡単に短時間で施工が行え、安心と安全を提供します。


4.製造・販売の予定

   当社は、本工法を用いて「柔ワイヤ工法」の施工が困難であった箇所の耐震工事を行い、より安全な設備の提供を進展する計画です。尚、O-T-9工法用金具「O-T-9セット」は、2019年12月から一般販売を予定しており、製造・販売は日栄インテック株式会社(東京都荒川区 代表取締役社長 高橋 善春)が対応します。


5.本件に関する問い合わせ先

   新日本空調株式会社 経営企画本部    ESG経営戦略室 コーポレートコミュニケーション課 星野 昌亮
   TEL:03-3639-2332(ダイヤルイン)
   FAX:03-3639-2734
   E-mail: hoshinom@snk.co.jp

   新日本空調株式会社 技術開発研究所 品田 直也
   TEL:0266-73-9611
   FAX:0266-73-9615
   E-mail:shinadan@snk.co.jp

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