【中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅢ」の策定について】
当社は、2026年度を初年度とする4か年計画「SNK Vision 2030 PhaseⅢ(2026~2029年度)」を策定し、2026年5月13日開催の取締役会において決議しましたので、お知らせいたします。
1.策定に至る経緯
2020年に当社グループは、2030年を見据えた長期経営方針となる10年ビジョン「SNK Vision 2030」を策定し、次の基本方針を掲げました。
基本方針
新日本空調グループは、持続可能な地球環境の実現と、お客様資産の価値向上に向け、
ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指します。
PhaseⅠ・PhaseⅡ(2020~2025年度)では、社会情勢の変化に柔軟に対応しながら、環境・社会への取り組みを深化させるとともに、技術力および現場力の強化を着実に進めました。
一方で、労働人口の減少、サプライチェーンの制約、脱炭素の加速、気候リスクの増大などにより、当社グループを取り巻く事業環境の不確実性は一段と高まっています。また、デジタル技術およびAIの急速な進展により、顧客ニーズ、業務プロセス、競争環境の変化も加速しています。このような環境のもとでは、これまで培ってきた技術力と現場力に加え、データとナレッジを基盤に、変化する顧客ニーズや環境要請に応じて提供価値を継続的に高めることが求められます。
PhaseⅢは、「SNK Vision 2030」の実現に向けた総仕上げであると同時に、その先の成長ステージへつなぐ重要な期間と位置付けています。これまでの取り組みを踏まえ、継続すべきテーマと新たに顕在化した課題を整理したうえで、2030年に向けたありたい姿を再定義しました。デジタルとグリーンを両輪に、既存事業を進化させながら、将来の成長基盤を築いてまいります。
2.2030年に向けたありたい姿
当社グループは、快適な空間をつくることにとどまらず、健康、安全、省エネルギー、脱炭素およびレジリエンス
※を統合した価値として「カイテキ」を創造し、人と社会と地球が調和する豊かな環境を実現します。
ありたい姿
- 空調工事を核に社会のニーズに応える技術力を磨き、地球環境への貢献を事業成長につなげ、持続的に成長している
- 「カイテキ」を統合価値と位置付け、企画・提案から施工、維持管理、改修まで一貫して提供し、顧客資産の価値向上に貢献している
- 省エネルギーと脱炭素を軸に、環境価値と収益性を両立している
- 高付加価値業務へ集中できる働き方が定着し、生産性とウェルビーイングが両立している
- 事業の実態が共通指標により可視化され、意思決定の精度と実行力が高まっている
- ナレッジの蓄積・再利用により属人化を抑制し、学び続ける組織へ進化している
- データと先端技術を活用した協働が定着し、意思決定と実行のスピードを高めている
- 多様な顧客とサプライチェーンと共に価値を磨く共創パートナーとして選ばれている
- 独自性と強みが言語化・可視化され、社内外に認知されている
- 人材の経験、スキル、実績が可視化され、育成、配置、評価に一貫して活用されている
- 透明性ある情報開示と対話を通じて信頼を獲得し、企業価値を高める体制が整っている
※レジリエンス:自然災害、気候変動、社会情勢の変化、供給制約などの不確実性に対して、事業と顧客の快適性を維持・回復・進化していく力。
3.マテリアリティ
ありたい姿の実現に向け、当社グループと社会・環境への影響を踏まえ、優先して取り組むテーマとして、次の重要課題を設定します。
優先して取り組む5つの重要課題
- デジタルによる価値創出
- 脱炭素とレジリエンスの強化
- 人的資本と組織基盤の進化
- 持続可能型バリューチェーンの確立
- 未来成長領域の創造
4.基本戦略、対処すべき課題および推進の方向性
ありたい姿の実現とマテリアリティへの対応に向け、次の5つを基本戦略とします。
デジタルフロンティア戦略
データ、ナレッジおよびAIを経営の基盤として活用し、業務プロセスの全体最適を進め、意思決定と実行を高度化・迅速化する。
- データ連携を軸に、業務全体で一貫して活用できる基盤の整備
- 事業の可視化と共通指標の整備による意思決定および計画の精度向上
- ナレッジの蓄積・再利用を促進する仕組みの定着
- AI利活用の信頼性を高めるガバナンスおよび運用体制の整備
- 業務プロセスの再設計による経営資源の高付加価値領域への重点配分
グリーンイノベーション戦略
省エネルギーと脱炭素を中核に「カイテキ」の提供価値を高め、資源循環とレジリエンスを一体で強化して、環境価値と収益性を両立させ、社会課題解決に資する事業モデルを進化させる。
- 企画・提案から施工、維持管理、改修まで一貫した環境価値の提供力強化
- 運用段階におけるエネルギー最適化と継続的改善の推進
- 資源循環の全体最適に向けた標準化と仕組み化
- 冷媒対応の高度化に向けた管理・品質体制の強化
- レジリエンスの強化を通じた平時と有事の両面で快適性と事業継続を支える提供力の強化
人的資本・エンゲージメント戦略
採用から育成、配置、定着までを一体で捉え、人材情報の可視化を通じた適材適所、働き方の高度化、挑戦を後押しする環境整備および知の継承により、社員の成長とエンゲージメントを高め、組織の持続的な価値創出を実現する。
- 人材確保と定着に向けた魅力発信および採用・定着施策の強化
- 人材情報の可視化と活用基盤の整備による適材適所の実現
- 業務プロセスの標準化と役割分担による働き方の高度化
- 挑戦を後押しする環境整備による挑戦と成長の循環の創出
- 学びと伝承が循環する知の継承の仕組みの定着
価値共創・収益力戦略
安定成長を支える事業ポートフォリオと施工体制を強化して収益構造を高度化し、独自の強みを活かした価値提案を磨き、多様な顧客とサプライチェーンと共に選ばれ続ける事業基盤を構築する。
- 注力分野と投資の方向性の明確化による事業構造の強化
- 強みの明確化と発信を通じた提案力およびブランド力の強化
- 建物のライフサイクル全体で価値を届ける一貫提供体制の整備
- 受注判断とプロジェクト運営の精度向上による収益安定性の向上
- 施工体制の持続性を支えるサプライチェーンとの協働の強化
未来事業創造戦略
「カイテキ」の提供価値の幅を広げ、未来の成長につながる事業とサービスを育て、事業化までを継続的に生み出す仕組みを整えて成長分野での存在感を高める。
- 顧客連携を起点とする継続的なテーマ創出体制の整備
- 「カイテキ」の提供価値の明確化と発信力の強化
- 重点領域への集中、知見の蓄積および新領域への展開を通じた継続的な挑戦の強化
- 価値の検証と改善につながる評価・改善の枠組みの整備
- 事業化の再現性を高める共通プロセスと推進体制の整備
5. 実行に向けた取り組み
本計画は、2030年に向けたありたい姿を実現するための実行計画です。各戦略を具体的な施策へ落とし込み、責任体制と優先順位を明確にしたうえで、進捗と課題を継続的に可視化します。また、法令・コンプライアンスおよび安全を最優先に、事業環境の変化に応じて施策を適宜見直しながら、着実に成果へつなげます。
6.経営数値目標
| 2029年度 |
| 受注工事高 |
2,200億円
|
| 完成工事高 |
2,000億円 |
| 営業利益(率) |
240億円 |
| 12.0% |
経常利益(率)
|
245億円 |
| 12.3% |
|
当期純利益(率)
|
180億円 |
| 9.0% |
| ROE |
18%以上 |
7.成長投資・資本政策および政策保有株式に関する方針
成長投資方針
成長投資については、PhaseⅢ期間(2026~2029年度)において、将来の収益基盤の拡大および競争優位性の確立につながる分野を中心に、戦略的かつ選別的に実行します。
成長投資額:300億円規模
対象領域は、既存事業の収益力強化、社会課題解決に資するソリューション、デジタル・GX領域、M&A、新たな成長分野への事業展開などとします。
成長投資の実行にあたっては、戦略適合性、投資採算性、リスクおよび事業シナジーを慎重に見極め、資本コストを意識した投資判断を徹底します。収益性と成長性を備えた領域へ経営資源を重点配分し、事業ポートフォリオの質的転換を進めることで、資本効率の改善とROEの持続的な向上を目指します。
資本政策の基本方針
当社グループの資本政策は、将来にわたる持続的な企業価値の向上と資本効率の改善を両立させることを基本方針としています。
資本コストを意識した経営を徹底し、成長投資、財務健全性、株主還元の最適なバランスを図ることで、中長期的な価値創造を実現します。
財務基盤については、健全性を維持しながら、事業環境の変化に対する耐性と将来の成長余力を確保します。
政策保有株式に関する方針
政策保有株式については、事業上の合理性や資本効率の観点から保有意義を継続的に検証し、PhaseⅢ期間中も削減を進めます。
政策保有株式に関する目標
純資産に対する政策保有株式の比率:2029年度末までに20%未満
政策保有株式の削減により創出した資本を成長投資および株主還元へ有効に活用することで、資本効率の改善と企業価値の向上につなげます。
8.株主還元
株主還元については、安定的かつ継続的な還元を基本方針とし、業績動向、財務状況および成長投資とのバランスを勘案しながら実施します。
株主還元方針
株主還元額:PhaseⅢ期間累計300億円規模
DOE(株主資本配当率):5%を下限
累進配当:2029年度まで継続
自己株式取得:PhaseⅢ期間中、200万株規模を目安に機動的に実施
PhaseⅡで掲げたDOE下限および累進配当方針を踏襲し、自己株式取得を含めた株主還元のさらなる充実を図ります。
株主・投資家の皆様との建設的な対話を通じて、当社グループの成長戦略、資本政策および株主還元方針への理解を促進し、市場からの信頼性向上を図ります。
当社グループは、以上の資本政策および株主還元方針を着実に実行することで、成長性と資本効率を両立させる経営を推進します。PhaseⅢを「SNK Vision 2030」の集大成と位置付け、2030年に向けたありたい姿の実現を目指します。
以上
※将来目標は、2026年5月13日現在の判断および入手している情報に基づくもので、種々の要因により変化することがあり、これらの目標や予想の達成および将来の業績を保証するものではありません。また、これらの情報は、今後予告なしに変更されることがあります。